イル・プルーとの初めての出会いは、「弓田亨フランス菓子」(中央公論社刊)でした。
その頃中華料理店に勤めており、お店でも何品かの中国菓子を出していましたが、種類を増やしたく、新しいアイデア、ヒントを求め本屋に通っていました。
数多くある洋菓子の本の中で、「洋菓子の基本の作り方」「一つ一つのケーキの組み立て方」すべてにおいて、丁寧に、細かく、かつ分かりやすく書かれていたのが、弓田先生の本でした。
一見、説明が細かすぎて、素人の私にはとっつきにくい感じもありましたが、基本のケーキを作るにつれ、このように丁寧に詳しく説明されているのは、本当にケーキを作る人のために書かれた本だと理解できました。
軽い気持ちで始めたケーキ作りでしたが、弓田先生のケーキにのめり込むまでにさほど時間はかかりませんでした。本に穴があくほど熟読し、帰宅してから毎晩のようにハンドミキサーを回していました。
そして弓田先生が主催するお菓子教室の存在を知り、次第に「先生の授業に参加してみたい」「プロの仕事を間近で見たい」という強い気持ちにかられ、イル・プルーの門をたたくことに決めました。
授業はプロならではのアイデア、先生方の無駄のない動作、科学的で分かりやすい説明に、毎回驚きと感動の連続でした。
タルト生地を上手に丸くのす方法、パイ生地をきれいに無駄なく四角にのす方法、ババロアの混ぜ方、本で少しは勉強したつもりでしたが、実際に先生方の作業を見るとケーキ作りをより深く、より明確に理解することが出来ました。
3年間のイル・プルーの授業を経て、その後念願でもあるお店を開くことが出来ました。オープンにあたり、パティスリーで研修させて頂き、先生方、シェフ、また多くのスタッフの方々に大変お力添えを頂きました。
今、夫婦二人でお店をきりもりしているので、なかなか自由な時間がありませんが、基本を忘れないためにも、年に2〜3回イル・プルーの講習を受けたく思っています。